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画人や伝統音楽家なら顔料や素材の響きで日々苦労されているので説明のいらぬ話で恐縮だが、現代の素材は銅でも何でも工法が変わり精錬が良すぎて昔のような雑味が出す「ふくよかな味わい」が出せない。柿右衛門さんもテレビで苦労(原材料の確保の苦労と本来の雑味の生む綺麗とは言わず「美しい」味わいを理解しない客の苦労)を淡々と述べておられたが、同じく宮中の楽人からも聞こえてくる。
さて前置きが長くなったが、景徳鎮の老料も釉上各種から釉下、釉中各種、本金に至るまで家伝のまたは師から受け継いだ伝統のものがある。大方の工場ではメーカーが科学的に量産した精製素材を用いた顔料を用いているが一般が触れることのできない最上級工房の作る「本筋」の景徳鎮は、全て自前で原料の調達から配合まで伝統調整の顔料を用いている。例えば私が付き合いのある上級工房や職人で(扱う商品も必然)そのへんの顔料店から顔料を買って使っているところは皆無である。みな独自調整である。 ほんのちょっとした雑分の含有量の変化や混ぜ方その他加工工程の秘伝で発色が全く変わってくる。この顔料原料の調達には大変な手間がかかる。 時間、人脈、地縁血縁、財力、全てつぎ込んでチャンスを逃さず踏み込んでゆく大胆さがなければとても調達できない。それはある時は政治をも動かさねばならない。 考えて欲しい、昔の景徳鎮の最高級品は誰が作らせていたか。 もちろん皇帝である。 官窯の顔料は既にふた昔も前に故宮から景徳鎮に流れた。 そこが再スタートみたいなところもあろう。 しかし景徳鎮人は財力が完全に復活した。 昔の景徳鎮人ではない。 西太后に報復され焼き払われた大清景徳鎮を凌駕する勢力と技術が既に存在する。 潤沢な資金力で世界から過去の作品を買い戻し、 農民、労働者を総動員し、官僚を動かし、レアアースのごとき顔料を研究、調達する。 その余裕が景徳鎮にはある。 「なんだ、ラーメン丼か。。」 そう言うなかれ、似て非なるものもある。 世界は景徳鎮のほんの表層、しかも下層しか見えていない。 PR |
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