正午から磁器鑑定。
工場長はその後自宅へ。
私は別荘地を見にサイクリング。
水車の音の聞こえる静かな田園。
小川には小魚が群れ、子供たちが歓声をあげ泳いでいる。
市内に戻り自転車調整と水槽調達。
景徳鎮田園特産の淡水魚を飼育の予定。
接客用に外国産のビールなど買い込む。
徐社長から試作品完成の呼び出し。
その後会食。
製品は99%成功。

会食後工場長を呼び出し、徐社長と午前4時まで白熱した議論。
景徳鎮の問題点と現在の各社の動静と展望について
共通の認識を持つ。
景徳鎮人の拝金現実主義と、物まね主義、窯元間の不必要な競争と欺きあいが全景徳鎮の発展を阻害すると痛烈に批判。
更に政府の一切の保護が軽工業に及ばない事への失望と国家的保護が及んだ場合の競争力、発展の度合いについて意見交換。
午前一時過ぎ、私の携帯が鳴る。
何事が起きたかとぞっとする。
徐社長と工場長は勘繰ってニヤリとして聞こえないふり。
女性の声である。
「うちの人まだお宅にいる?」
徐社長の奥さんだ。
「ああ、今代わるよ。」
「ああ、俺だ、うん分かった、そう遅くならないから、悪いな。」
きまり悪そうである。
工場長が言った。
「かみさんがとっても社長を気にかけているんだな。睦まじくていいことじゃないか。」
「いやあ、別にそんなわけじゃないが、私は普通夜は早くから表に出ないから」
徐社長が照れくさそうにまじめに弁解した。
「なあ、俺なんかひどいもんだぞ、このかた一回も出先にかみさんから心配して電話なんぞもらったことが無いもんな。」
そう言って工場長は笑った。
「そう言えばそうだな?!」
「何でか分かるか?」
「何でだ??」
「夜はうるさいから携帯を家において出かけるんだよ(笑)」
ひどい奴だと笑いながら熱いコーヒーを淹れなおそうとするとまた携帯が鳴った。
徐社長の奥さんが何か言い忘れたらしい。
「夜分にごめんなさい。うちの人、まだあなたと一緒?」
「ああ、いるいる、ずっといっしょだよ。ちょっと待ってて。」
「おい、工場長!お前だ!」
PR