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連日総手工の窯元達と深夜まで会議。
物価と人件費の上昇にほとんどが限界を感じている。 大規模な資金の流入で投機的な目的での半手工工場の乱立で実質に見合わない職人引き抜きで、職人がまじめに働かなくても大金が手にできるようになり手間のかかるいい仕事を拒否する風潮が強まった。 景徳鎮人は本来無責任で怠け者だ。日本人のように仕事に誇りを持っていない。面倒ならどんなに修業を積んでいてもすぐに楽な仕事に移る。 分業制だからどうしてもある工程の人たちが捕まらないととんでもないことになる。一発作って解散する連中が多いのもそこである。 こうなってくるとブランド化を成功させるか、人間国宝とかそう言う資格を金で買って田舎者に高く売るかするしか小規模経営や個人は生きる道が無い。しかし実質が伴わなければまた中国人だと言って軽蔑され馬鹿にされる。大師とか言っているがろくな作品が無い。何の教養も伝統も踏まえない下品なものが成金に好まれて一大ブームだ。 「大体中国人に自力でセンスのいい物や美しい物が作れるわけがない。」 トルコの作家が頷きながら「でも何で?」と。 「着てる洋服を見たらわかるだろう」 トルコ人が口の中の食い物を全部吹き出してしまった。 「磁器もまともに作ろうとしない怠け者の連中が、あの調和のとれない頭で新幹線だの空母だの笑わせてくれる」 景徳鎮の連中は中国を象徴する産業を国が応援しないことに不満を抱いている。空母が完成しても自分たちには何の関係もない。 「このままでは本物は廃れるな」 後継者はいても確かに売れ筋の蚯蚓線しか引けない。 そして分業の要を握るとマフィアのように実権を握り とんでもない賃金を要求してくる。 ある日、呼んできた職人が轆轤作業を終えたので、表に出来た生地を乾かしに出した。 全部出し終わった途端集中豪雨が襲ってきた。 他は休みを出していたので工場長しかいない。 「早く中に入れるのを手伝ってくれ!駄目になってしまう!」 職人は煙草を吸いながら言った。 「その手間賃はもらってないから関係ない。」 結局職人が半日がかりで作った生地は全部雨で駄目になってしまった。 景徳鎮では職人は仕事は単に賃金であり労働でしか無い。 出来あがる製品に一切の責任も関心もないのが景徳鎮の分業制だ。 こんな中でいいものを作るのは死ぬほど疲れる。。 まじめなところほど業種替えや廃業を考えるのも無理もない。 集まった社長や作家は私の集めた品を見てどれもいい出来だと言う。 そして一様に売らない方がいいと言う。 お互いにお互いの作品を見て売らない方がいいと言う。 もっともである。 なぜなら売ってしまったら次に作れる見込みが立たないからである。 次に同じものを作ろうとすると職人が何倍もの賃金を要求してくる。 一度作った物は同じ作業は何倍も億劫に感じるのだ。これは材料の精製から既に始まる問題だ。各所でごねる職人をどうコントロールするか、いっそやめてしまいたいと思うことが毎日続く。 仕事に誇りをもち仕事の好きな外国人を雇うべきであると思う。 経営全体の事を推し量った賃上げ要求を当然としてくれるであろう。 自分さえ金がもらえれば窯元は潰れてもまた誰か雇うと言うのが景徳鎮の職人に蔓延しているから、姿が見えないと思うと絵付けが途中でもその日のうちに他所の工房で仕事に入っている。。 総手工の作品は血のにじむような窯元の苦労が薄氷を踏みながら生みだしていると思っていい。だから本来なら売りたくないと言う気持ちは当然だ。 今回もいろいろ窯元を回って仕入れたものの日本に送るのを止めたものがたくさんある。窯元の言うとおり、私も今後出来ないと思う作品ばかりだからである。疑心暗鬼で総手工が評価されない市場に遠慮しながらの値付けで苦労の安売りは躊躇されるのだ。40℃近い不衛生なところを毎日回って歩いて一日に二三点仕入れができればいい方である。この巨大な焼き物の街でそれ程いいものが無いのだ。。 結局自分で作るしかなくなる。がそれもとんでもない手間である。。 売るのか、売らないのか。大きな矛盾だ。 「経済的に困らなければ売るな」 これが窯元たちの統一見解だ。 それなら私も小雅も全部コレクションである。 私はそうは思わない。 喜んで使ってくれる人と楽しみと総手工芸維持活動を共有できれば満足できるのである。 ところがこれがなかなか難しい。日本人は自分の目や考えがすぐに揺らぐ。 さんざん考えて、やはり北京で文化、産業背景に精通した客筋に売るのが適切かと感じ出した。 取りあえずこのブログでも非売品としてどんな物があるかだけ紹介してゆきたい。 さもないと、業者はいっそ悪いものばかり日本で紹介して信用してくれるはずの客筋を遠ざけてしまうからだ。 このブログに幸か不幸か偶々辿りついた方は是非その辺をみて景徳鎮はこう言うものを本来作ってるんだなと、感じていただければそれで十分有難いと感じる。 PR |
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