




今まさに失われつつある伝統工法の蓋碗。
一見本格派ではあっても、景徳鎮でさえ、もうどの蓋碗もプレスものばかりになって、素焼きなしで焼成する古典的な景徳鎮蓋碗はどこのメーカーもロスが多く扱わなくなってしまいました。
薄手に作ると歪みが大きく蓋と本体が合わない場合絵付けが全くの無駄になってしまうことから特に染付の蓋碗はリスクが高くどこの会社も作りたがらないわけです。
しかしプレスものと轆轤ものは発色から手触り、そして磁土の特性から来る茶葉のふくよかさを引き出す良さは全く別物でやはり染付の轆轤蓋碗に勝る蓋碗は有りません。
小雅ですら2007年から生産停止した総手作り素材と工法の蓋碗。
小雅なら恐らく1客2万元からそれ以上になるであろう総手工蓋碗をお求めやすい価格帯で生産することが出来たのが、今回の企画の目玉でもあるこの手工蓋碗です。
こちらの蓋碗は試作品を使用してみましたが、タルク釉薬や低温焼成、非還元炎の茶器のように水の感触を硬くしませんのでふくよかな茶ほどお似合いです。逆に窒素肥料過多茶葉の刺激や渋み、えぐみなどをパンチと捉える向きには、そう言った味や表面的な匂いの立ち上がりが緩和されるので満足感を得られないことでしょう。この辺が景徳鎮のもう一つの側面である緑茶の産地としての嗜好が育んだ最上級茶器の哲学がそこにあります。この点では小雅茶器が別格に体現していますし、今後しばらくはそれがさらに深められるでしょう。同じ白湯でもアルマイトで飲むのとガラスで飲むのでは味も変わります。磁器とて同じです。どのような磁器で飲むかはその人の感性と経験至第と言えるのではないでしょうか。
無理やりこれがいいとは以前のようには申せません。
とにかくも実用品としての強度を考慮した出来る限りまで轆轤の技で薄手に削り込み、光と茶葉の競演が楽しめるようとてもよい作りになっています。緩やかなカーブと揺らぎのあるフォルムが型押し蓋碗と違って目に飽きません。手触りに敏感な方ならなおさらのことでしょう。
一番気にかかる価格のことですが、焼き上がりを見て決定致しますが一客多めに見積もって3万円以内におさまると思います。ただし総手工芸蓋碗はもうほとんどどこでも作られておらず、3ピースばらばらに完成させなくてはいけないとりわけ染付製品はいつ断絶してもおかしくありませんし
値上がりしてもおかしくありません。今回の価格は今回の価格で有ろうこと、よろしくご理解ください。
続く
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