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「真夜中の~♪街道を~♪頭のおかしい野郎が二人~♪」
工場長がご機嫌で適当な歌を歌っている。 後ろでトラックがクラクションを鳴らしているが気にしないで 道の真ん中をおんぼろ電気自転車でふらふら走る。 時間は午後11時。 こっちは買ったばかりの自転車を必死でこぐ。 ついさっき「これから行く」と電話があった。 本来は一昨日の夜のはずであった。 「川で魚を取って遊ぶからな明日は。」 江西省産の淡水魚が豊富な事を知って絵付けの素材として面白いので接客室にアクアリウムを設置しようと言うのを聞いて一番に遊びたい人が 音頭をとった。 夜遅く訪ねてくるはずが、待てど暮らせど来ない。どうせまた気が変わるのだろうから来ないかもしれないからと家で仕事しているとやはり何の音沙汰もなく夜が白んできた。 待っててもしょうがないから朝市に行って生きたライギョとドジョウを入手してきた。ところが気温が熱すぎて酸欠を起こして家についたら 危篤状態。しかたないからドジョウの様な小さなライギョを料理して食べた。 生き残ったドジョウのデカイこと。。 日本で見たこと無いほどデカイドジョウが大暴れ。 これでは落ち着かないと街に出て可愛い金魚を 三匹買って妥協。 当初の計画は何れと言うことに。 何より水槽の魚を見ると目が休まることに気がついたから 急務だった。 焼き物鑑定、検品もパソコンも視点が一点に集中して変わらないから とても目に悪い。 魚を目で追ってるとそれだけでだいぶリハビリになっている。 一晩ドジョウは隔離して環境を整えて置いた水槽に金魚を移すと これまた順調に見えた。 ところが翌日良く見ると金魚のヒレに尾ぐされを発見。 薬も無いので慌てて酸素量を減らして塩浴を開始。 管理の悪い店から買った上に酸素を多く入れ過ぎて 好酸素の菌が繁殖した物と思われた。そう言えば 昨日は小さな点に見えたが生理的な物と思い気にし無かった。 家事をしながら金魚の世話をしていると先ほどの電話。 何の用だと思ったら、寝室の鍵が開かなくて連日困っている。 漸く業者を呼んだが開く様子が無い。 開いたら魚取りに行くから懐中電灯持って待っててくれと言うのだ。 昨日はソファーで寝たという。 あの家のソファーは概念が違って硬い紫檀のベンチだと思うのだが 工場長にはソファーなのだろう。。 夫婦そろってお疲れさまである。 「お前の家の寝室のドアはアメリカ製の防弾扉じゃなかったのか?」 「ドアはそうだが鍵が後付けの素晴らしい中国製だ。」 自転車を買った日、工場長の家の階段で工場長のボロ自転車とチェーンで繋いで鍵をかけたら帰りに買ったばかりの鍵が回らなくて金槌で毀したばかりである。二人とも出かけられなくてひどい目に遭った。 それからあちこち遊びに出かけたが、今回の鍵はドアは頑丈だし手ごわいらしい。二日も開かないのだから。 「開きそうか?」 「難しそうだ、ドアがよすぎる。。」 「今夜もそのソファーで寝るのか?」 「考えたくないな。」 「適当に待ってるからもし鍵が開いたら出てこい」 そう言って料理したり掃除したり洗濯したり手が離せないときに また電話。 「これから行く。」 「こんな夜中か?」 「そうだ。夜中でも魚はいる。」 「昌江だろ?あんな大きくて深い川危なくないのか?」 浅草辺の隅田川並みの河川である。網を持って 出かける様な川ではない。 「大丈夫だ、川は大きくても小さな魚もいる」 答えになっていない。 「鍵は開いたのか?」 「鍵は開かなかったがドアは開いた」 「毀したのか」 「千何元損した。」 アメリカ製の防弾扉が千何元で買えるのか。。。 団地の門の前で待ってるとはたして工場長がボロ自転車でやってきた。 「お前網はどうすんの?」 「これが目に入らないのか?」 これは??!! 蒸し鍋の中敷きではないか!!! 「こんなもので捕るのか?」 「当たり前だ。あとはこれがある!」 「は??」 直径10センチの金魚すくいの一番小さな網だ。 こう言う天才だからあの焼き物が作れるに違いないと 考えることにした。 それから工場長の「頭のおかしいなんとか」という替え歌を聞きながら 川に向かった。 川辺につくとこんな夜中でも屋台が出てカップルで一杯だ。 暗がりのベンチはどこも満席で盛況だ。 「どうだ、羨ましいか?」 「それどころじゃない!お前どうやってこんな高さ10mも護岸工事されたところで、鍋使って魚とるんだ一体!!」 「没関係!」 「関係無くないだろう!!」 ところがどうしたことか!! 護岸に勝手に手作りの梯子が掛けてある。 「ここから降りる!」 「上流で大雨とか降ったらおしまいだからな」 「大丈夫だ省内晴れだから、見ろ下は自然の河川敷がある」 「あ、ほんとだ。」 護岸工事された遊歩道は二段構造になっており 一番上は道路よりだいぶ高く盛り上げてあり 一定間隔で大きな楼閣風の東屋が儲けてあり 老人達が民族楽器を奏で歌の稽古をしている。 その下の段、恐らく道路と同じ高さのところに もう一本遊歩道があり、下りて川面を眺められるようになっている。 こちらの方は高低差もあり、浮橋に下りる個所以外は だいぶ歩く人も少ない。 老人カップルは立派な最上部の東屋を占領して、若くなるほど下へ下へと 言う傾向が見える。 最下部の外れ、光と闇の境目辺りは目いっぱいおしゃれをした若者たちが 無言のまま抱き合っている。 「ヨ~シヨシ(ここだけ日本語、日本の兵隊のまね)我々はこの辺りでいいだろう」 二人しかおらんのにお前はいつから隊長なんだ。。 カップルたちは得体の知れないおっさんが二人、手に手に金魚すくいの網と蒸し鍋の仕切りを持って怪しげな話をしながらやってくるので何か思想改造とかの行き過ぎて頭のおかしい人を見る様な気の毒そうな目でこっちを見ている。 なんだかいろいろな意味でとても気まずい空気のなか手作りの梯子をつたって河川敷に下りた。 夏草が生い茂りひんやり涼しく生きかえる。 川面を懐中電灯で照らすと、いるいるいる!! 小魚やエビがたくさん泳いでいる! 続く PR |
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