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【2025/05/21 09:07 】 |
老料
画人や伝統音楽家なら顔料や素材の響きで日々苦労されているので説明のいらぬ話で恐縮だが、現代の素材は銅でも何でも工法が変わり精錬が良すぎて昔のような雑味が出す「ふくよかな味わい」が出せない。柿右衛門さんもテレビで苦労(原材料の確保の苦労と本来の雑味の生む綺麗とは言わず「美しい」味わいを理解しない客の苦労)を淡々と述べておられたが、同じく宮中の楽人からも聞こえてくる。

さて前置きが長くなったが、景徳鎮の老料も釉上各種から釉下、釉中各種、本金に至るまで家伝のまたは師から受け継いだ伝統のものがある。大方の工場ではメーカーが科学的に量産した精製素材を用いた顔料を用いているが一般が触れることのできない最上級工房の作る「本筋」の景徳鎮は、全て自前で原料の調達から配合まで伝統調整の顔料を用いている。例えば私が付き合いのある上級工房や職人で(扱う商品も必然)そのへんの顔料店から顔料を買って使っているところは皆無である。みな独自調整である。
ほんのちょっとした雑分の含有量の変化や混ぜ方その他加工工程の秘伝で発色が全く変わってくる。この顔料原料の調達には大変な手間がかかる。
時間、人脈、地縁血縁、財力、全てつぎ込んでチャンスを逃さず踏み込んでゆく大胆さがなければとても調達できない。それはある時は政治をも動かさねばならない。
考えて欲しい、昔の景徳鎮の最高級品は誰が作らせていたか。
もちろん皇帝である。
官窯の顔料は既にふた昔も前に故宮から景徳鎮に流れた。
そこが再スタートみたいなところもあろう。
しかし景徳鎮人は財力が完全に復活した。
昔の景徳鎮人ではない。
西太后に報復され焼き払われた大清景徳鎮を凌駕する勢力と技術が既に存在する。
潤沢な資金力で世界から過去の作品を買い戻し、
農民、労働者を総動員し、官僚を動かし、レアアースのごとき顔料を研究、調達する。
その余裕が景徳鎮にはある。

「なんだ、ラーメン丼か。。」

そう言うなかれ、似て非なるものもある。

世界は景徳鎮のほんの表層、しかも下層しか見えていない。








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【2012/07/05 10:39 】 | 景徳鎮よもやま | 有り難いご意見(0)
よく見れば。。


何気ない清朝の古典柄です。しかし市場にあふれる多くの景徳鎮と言われるものと比べてみると、胎の質感、白さ、釉薬の質感などの違いに加え、絵の具が圧倒的に違うことがわかります。

しかも混ぜものなく高級な(例えば金を紅の発色に使う瑪瑙紅や宝石紅と呼ばれるものなど)顔料だけ同じグレードのものが矛盾なく使われています。顔料同士の調和に加え胎そのものがまた同じグレードのもので調和が取れています。更に職人のグレードもそれに比例しています。

探している物や規格、当座の好みに捕らわれて目の前のものが見えなかったり、同じ様式のグレードの低いモノに対する先入観から「奥」があることに気づかずスルーしてしまったり、これは多くの日本人のお客さんや友人と一緒にいてよく見かける光景です。

電車で宮様をお見かけしたことがあります。でも誰も電車に宮様がお乗りあそばすとはみなさん思いも及びませんので(宮様もごく自然体であらせられましたので)一瞥しても誰もそうと気がつく様子の人はおりませんでした。

電車の乗り換えの一刻を争い、ホームの並ぶ位置ひとつずれても気持ちのなんともおさまりが悪い人がおるかとおもいますが、平素の思考やセンサーがどれだけ自分で決めた、自分の枠内の決まりごとに大きく左右されているか注意が必要です。

宜興のつまらぬ民国急須に気を取られて目の前の官窯の本物を見逃すなど、いろいろ見てきました。例えはキリがないほど沢山あります。

昔の日本の言葉に「あきめくら」という言葉がありましたが、この言葉は戒めとして言葉狩りすべきではなかったかもしれません。

小学3年の担任に毎日言われた言葉です。

先生のおかげで更に注意深くなりました。








【2012/07/04 20:23 】 | 景徳鎮よもやま | 有り難いご意見(0)
薪窯胎と老料の相性


画像は薪窯で焼成した本景徳鎮胎です。絵付けは老料の粉彩。
最近はガス窯でもあらゆる技法で風合いを出せるようになりましたが
あの薪の不均一な焔の作り出すゆらぎのある風合いはやはり薪窯焼成独自のものです。

古来よりの伝統顔料各種とその重厚感、落ち着きで大変相性が良いものです。

ある一定の贅沢を求めたい方には是非薪窯焼成の風合いをお楽しみいただきたいものです。

最近は日本でも中国でも労力、コスト、歩留まりの観点から薪窯から遠のく傾向が強まっています。瀬戸や織部だって薪で焼いてる人はどれほどいるものか。

私たちは敢えて難しい、そして貴重な素材、技法に取り組んで参ります。

でも燃料が変わってもそれぞれにいい出来のもの悪い出来のものがありますから
間違っても焼成燃料だけで優劣は付けないでくださいね。

日本のお客さんは戦後の教育で○×問題とか選択問題式に刷り込まれた、思い込んだ知識の範囲でだけで物の善し悪し、好き嫌いを決め込んで正解以外は却下してしまいます。是非マニュアル的先入観、偏見を遠ざけて、出会ったもの出会ったもの何でもよく観察してください。きっとそれぞれの良さが見えてくると思います。




【2012/07/03 00:27 】 | 景徳鎮よもやま | 有り難いご意見(0)
茶器売り上げ停滞?
茶器を生産する窯元の声が二分している。

一向に売れなくて値段も上がらず自転車操業という声。

一方で安定した伸びを見せ社交や多角経営で忙しくなっているという声。


中国人は低級な物まねしかできない人間が全体の大部分を占めるので、前者は他人が茶器を売っているのを見て安易に投資して始めた連中である。

後者は既にある程度歴史を持っており、方向性もあれば思想もある。何より他人のものまねをしない。

九段窯があっという間に増殖してしまったのは象徴的である。
簡単に増殖できる物は更に模倣され増え広がってゆく。


結局変なニセモノは出ても小雅などしっかりしたものを作るところは同じものを作られて競争に追い込まれることは無い。

大多数の中国人は小さなソロバンをはじいて楽な方にしか行けないのだ。

結局中国茶器としての売り上げは全体では伸びているものの、似たような安物を作っているところは競争が激しく売れている実感が無い。

そして一か所が止めて新しいものに乗り換えて売れたのを見ると、また皆が一斉にその方向に向かう。小銭のために愚かな循環を繰り返しながら大地を食ってきたのが中国大陸の文化の基礎である。

世界の信仰で金にだけ特化した神がいて全てに影響している文化圏など中国しか思いつかない。


食いつぶし、使い潰し、超利己的な民族がここにいることを世界は注視し常に批判と教育を向けなければならない。
そして新しい世代を大切に育ててよき隣人として付き合わなければならない。


それはさておき、今後大量の「改行業」や「廃業」が出てくるのは確実である。中級以下の茶器は一斉に捨て売られ暴落して販売店は大打撃を食らう可能性がある。

そして中クラスから中の上クラスの物も入手できなくなり、超量産品か最高級品かしか手に入らなくなるであろう。

既に中級のものが質を落とし始めたり、工程や素材を抜き始めている。


陶磁博覧会でますますそれを感じた。


【2011/10/21 09:43 】 | 景徳鎮よもやま | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
古磁器片高騰
研究用に沢山買い求めてきた出土の磁器片相場が高騰してきた。

上絵はほとんど出ない。上絵は焼成成功した白磁になされるので、出荷された先で壊れて磁器片になる。白磁は出土しても発掘者である農民の興味はひかない。


景徳鎮で出てくるのは焼成ロスが多いのに既に絵付けしてある染付が主である。美しい絵の描いてある失敗作の欠片が以前は無尽蔵にあった。絵の素晴らしいもの、発色の良い物はサンプルとして飛ぶように売れる。


その釉薬や染付の欠片の値段が不思議と急速に高騰してきている。


元来は研究者や磁器関係者のみの世界であったが、最近は一般が骨董に興味を持ち、本物の骨董が手に入らないので、切手集めのような感覚で古磁器の絵付けを収集するケースが増えてきている。

更には仕事の無い大学生が多く、美術系の学生や卒業生が内職として古磁器の欠片をアクセサリに加工したり雑な需要が増えてきている。
仕事の無い学生が山ほどいるわけで、誰かがお金になったと言えば忽ちそこによって来る。

純粋に磁器関係者、美術関係者の研究に使われなくなったところが悲劇である。研究のために買うのと、加工して生活費を稼ぐために買うのでは心理的にも大きな違いが働く。要するに一般の売れ筋に走るのだ。研究者も芸術家もそういった心理が染みつかないことを祈るが、いかんせんここは中国である。人身売買すら当たり前の国である。




【2011/10/20 08:33 】 | 景徳鎮よもやま | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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